• 2023.12.15
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城跡に建ち、近代の二本松を支えた「二本松製糸会社」

 世界遺産「富岡製糸場」に匹敵する規模を誇り、近代の安達地方を支えた「二本松製糸会社」と創設者のひとり・山田脩(おさむ)にスポットを当てた企画展「製糸業と二本松」が16日、にほんまつ城報館1階の二本松歴史館で開幕します。

二本松製糸会社と山田脩の人物像を紹介

 養蚕は二本松藩の財政を支える重要な産業でしたが、明治に入って旧二本松藩士の山田らが政府から二本松城三ノ丸跡を借用して二本松製糸会社を設立。生糸は米国ニューヨークでも販売され、大きな利益をもたらしました。二合田用水と蒸気を使った器械で年間約6.4tを生産、職工は245人で、賃金は富岡製糸場より高かったそうです。生糸の暴落や器械の修理費がかさんで会社は設立から13年後の1886(明治19)年に解散しますが、山田が工場を買い受け「双松館」として1925(大正14)年まで操業を続けました。

 士族で工場長だった秋月弘弥の日誌(6冊)には、明治天皇が東北巡幸で工場を視察されたことや工女の様子、繭や燃料の買い付けなどが詳細に記され、実態を知ることができます。また、経営安定と海外まで販路開拓に奔走した山田の人物像だけでなく、石垣の上部に建つ工場の規模、発掘調査結果、生活に密着した養蚕業などを写真や道具で紹介しており、二本松近代化の礎に触れることができます。

 2月25日まで。午前9時~午後5時。入場無料。月曜休館。

民間パワーを結集して工場が誕生
工場全景。三ノ丸は工場敷地に
二本松製糸会社を海外でPR
「双松館」外観と内部の写真も展示
発掘調査で出土した糸取鍋や荷札
養蚕業が身近だったことを物語る道具の数々
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