• 2022.10.26
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高村智恵子〝幻の花嫁衣裳〟特別展示

 高村智恵子が着るはずだった花嫁衣裳が11月8日まで智恵子の生家(二本松市油井字漆原町)で特別展示されています。智恵子記念館開館30周年企画。

智恵子が袖を通すはずだった花嫁衣裳

 花嫁衣装は1912(明治45)年、智恵子が27歳のときに地元医師との縁談のために長沼家が用意したとされ、真っ赤なちりめん生地に松竹梅や鶴亀が刺繍で施されています。智恵子は、すでに高村光太郎と人生をともに歩むことを心に決めていたため、縁談は破談となり、花嫁衣装に袖を通すことはありませんでした。

 このとき、光太郎は「いやなんです あなたのいつてしまふのが— おまけにお嫁にゆくなんて よその男のこころのままになるなんて」(智恵子抄「人に」より)と心情を詠んでいます。

 上品かつ華やかな〝幻の花嫁衣裳〟は100年以上経った現在も智恵子の生家で輝きを放っています。衣装は長沼家の知人から譲り受けた地元の呉服店が「智恵子の小袖」として大切に保管しているそうです。

 特別展示に合わせ、ふだん公開していない生家2階「智恵子の居室」も公開しています。智恵子が福島町立福島高等女学校に入学したころ(明治34年)や卒業記念(明治36年)の写真パネルなども並び、智恵子の面影をしのぶことができます。また、装飾が施された照明用の碍子(がいし)が確認でき、当時の長沼家の財力もうかがえます。

 智恵子記念館では、智恵子の紙絵実物展示や創作参加型企画「愛の成就を祈る~大切なモノへ贈る愛のメッセージ」が行われ、来館者が「ずっとそばにいてね」「これからも変わらぬ愛を育んでいきましょう」などの想いを寄せています。入館は午前9時から午後4時まで。水曜日定休。入館料は高校生以上410円、小・中学生210円。問い合わせは二本松市智恵子の生家・智恵子記念館(電話0243-22-6151)へ。

松竹梅と鶴亀がデザインされた衣装と袖部分(下)
特別公開されている智恵子の居室
装飾が施された智恵子の居室の碍子
寄せられた愛のメッセージ
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